難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか?-制度面の課題から」, <図5:一次審査において、2点とも認められていないのは上記9か国中、日本のみ(ただし、親を伴わない年少者など、脆弱性が高い者に限って弁護士やカウンセラーなどの立会いを認める運用が2017年より試行されている)。(難民研究フォーラムより)>, 適切な難民審査がなされていない上、送還についても司法など別の機関の判断が入ることなく、すべて入管庁だけで決定できる日本の強制送還に対しては、国連からも勧告がなされています(*14)。, 日本では、これらの難民審査の改善がまず図られ、保護されるべき人が保護をされる必要があります。ブルクタウィットさんのように、本人の努力や様々な運・偶然によって左右されるものであってはなりません。誤って送還するリスクを限りなく減らす仕組みづくりを行うべきではないでしょうか。, 近年、難民申請者の急増、難民申請手続きの長期化を背景とし、「送還忌避問題が深刻化している(*15)」とされ、「送還忌避者」という言葉が出てきました(*16)。そして、2019年10月、法務大臣のもとに「収容・送還に関する専門部会」が設置(*17)。有識者や実務者からなる委員によって、「送還を促進するための措置の在り方」と「収容の在り方」について2020年6月に提言が示されました。今後、法改正の動きにつながっていきます。, 提言の中には、「庇護を要する者を適切に保護しつつ、送還の回避を目的とする難民認定申請に対処するため」として、現状では難民申請中は送還が止められる手続き(送還停止効)に、一部例外(難民申請を複数回行った人など)を設けることが含まれています。そのほか、「送還忌避罪」の導入なども挙げられています。, しかし、「送還忌避問題が深刻」「送還忌避者の増加(*18)」ということが議論の前提になっていますが、法務省は、2018年以前の送還忌避者の実態をそもそも「集計していない(*19)」と回答しています。また、図1のように、送還・帰国者数は実は年々伸びています。, 「難民申請をすれば送還が停止されることを濫用・悪用しているケースがある(*20)」ともされています。特に複数回の難民申請が注視され、難民申請中の送還の一時停止の手続きから対象外にしよう、と考えられています。しかし、上述の事例や図3が示すように複数回難民申請により庇護が受けられた人はいます。加えて、99%以上が難民として認められない日本の厳格すぎる審査と今なお向き合い、収容されながらも留まっている申請者がたくさんいます。, ノン・ルフールマン原則を遵守するために、難民申請者は例外なく送還停止がなされるべきです。明らかに理由がない難民申請の場合でも、もともとの決定をした機関とは別の独立した機関・裁判所などに不服申立ての権利が認められ、かつその機関や情報の専門性・正確性が担保される必要があります(*21 22)。, 万一誤った判断で送還されたら、その命に私たちはどう向き合ったらいいのでしょうか。この方針転換から考えるべき私たちの国の姿勢が問われています。, 日本は、労働力として外国人材を活用したいという姿勢も示しています。このように送還や収容の課題を指摘すれば、難民受け入れの負担的側面にばかり目が向いてしまいますが、難民申請者を取り締まることを重視して捉えるのではなく、あるべき制度に整えた上で、日本社会で働き、生活していけるように転換していくような、両者にとってのぞましい発想もあるのではないかと考えます。, ーー大橋弁護士は、クルド難民弁護団として長年難民支援をされています。トルコ国籍の難民申請者の大半を占めているクルド人について、日本はこれまで1人も難民認定をしていません。これまでの担当事案で、送還されてしまった方はいますか。, クルド人は「世界最大の少数民族」と言われます。3千万人ほどがいるとされており、トルコ、イラク、イラン、シリアなどに暮らしていますが、クルド人による国家はありません。トルコでは、クルド人による国家の設立を求める活動は犯罪であり、クルド語を話すことなども犯罪とされたりした歴史があります。, Kさんがトルコで取り調べられた内容は、日本でクルド人たちが民族の団体を設立するために行なっていた会合についてで、捜査機関から反政府組織活動と断定されたのです。これは、後に、トルコの対テロ本部での尋問記録が手に入ったことで明らかになり、誰がその会合に来ていたかなども書かれていました。法務省も、2004年でトルコ現地で調査(*23)を行った際に「記録は本物だ」と認めています。, なお、その会合で話されていた民族の団体が、後に、2003年に設立された「クルディスタン&日本友好協会(*24)」でした。埼玉県蕨市に、在日クルド人が小さな事務所を借りて開設した手作りの団体です。互助と、日本にクルド文化を紹介することを目的とするもので、もちろんテロ行為と無関係でした。, トルコ国籍クルド人のFさんの話をします。 *20 前掲注17「第4回議事概要」 でも、難民申請者たちが感じる不条理はさらなるものだと思います。 *22 イギリスには、「明らかに根拠のない」主張に基づく難民申請者に対して、一次審査において不認定となった場合、英国内での不服申し立てを認めない制度がある(Non-Suspensive Appeal Procedure:NSA)。NSA適用可否の判断にあたって、様々な手続きを経る必要があり、控訴院に提訴する権利もある。その上、第三者機関の勧告等を受け、ガイドラインが改訂され、その適切な運用のために努力が図られている。他方、不適切なNSAの適用事例も認められる(難民研究フォーラム「イギリスの難民該当性審査の迅速処理制度とその課題」) *4 前掲注2 ※大橋弁護士のインタビューは、文末よりご覧いただけます。, 2007年に日本にたどり着いたエチオピア出身のブルクタウィットさん。エチオピアでは、反政府的な発信をすることで起訴や投獄・拷問される状況が長く続いています。彼女も、野党のメンバーとして、デモなどに積極的に参加し、国を変えるため奔走していました。危険とは分かっていましたが、皆が泣き寝入りしてしまっては、状況は一向に改善しない―そんな自由を求める思いからでした。次第に当局に目をつけられ、二度に渡り逮捕・拘留されたそうです。大金と引き換えに釈放されたものの、いつまた捕まってもおかしくない状況で、家族にも危険は迫っていました。出国の手配をするにあたり、最初に観光ビザがおりたのが日本でした。難民の証拠を用意することは危険の増す行為のため、ショルダーバックの裏地を切って書類を忍ばせ、なんとか空港を突破できました。, 成田空港に到着しました。しかし、短期滞在の資格はあったものの、エチオピアのアムハラ語しか分からず、所持金が日本円に換算すると十分にないため、入国を拒否されてしまいました。収容され、難民申請をしましたが、数日後に再び空港へ連れていかれてしまいます。送還されそうになっていることに気づき、力の限り泣き叫び抵抗したことで送還は中止になりました。しかし、収容施設に戻され、そのまま収容された期間は計1年以上。仮放免されましたが、難民申請の結果が不認定となり再度収容されます。強制送還の恐怖は消えず、過度のストレスで耳が聞こえなくなったり、記憶障害にも襲われました。難民として保護してほしいと二度目の申請をし、送還も間際で止めることができました。再申請もあっけなく不認定。しかし、弁護士とともに裁判を戦い、2010年に勝訴、そして難民として在留が認められました。, 彼女のように、難民認定された人のうち、退去強制令書が発付されていた人は、2010~18年で43人(5人に1人以上の割合)にのぼります。難民審査や出身国の状況の評価は、命ととなりあわせです。, ・難民認定者数、人道配慮数:法務省HPより 日本に住むクルド人のおよそ30%が入国管理局で仮放免許可申請証に判をもらっている状態にある。難民申請を行ってはいるが、認定されてはいないという状態でかろうじて在留していることを「仮放免」 … *18 出入国在留管理庁「第7次出入国管理政策懇談会における「収容・送還に関する専門部会」の開催について」など © Fuji News Network, Inc. All rights reserved. TASビル4階 MAP *2 UNHCR「難民の権利と義務」 App *23 現地調査についての詳細はこちら *13 法務省「難民認定制度の見直しの方向性に関する検討結果(報告)」、UNHCR「日本と世界における難民・国内避難民・無国籍者に関する問題について(日本への提案)更新版」。 心理学の用語で「公正世界仮説」という言葉があるそうです。理不尽にひどい目にあっている人を見ても、世界は公正だと信じたいために、理不尽な事態を認識したくないという心理的なバイアスがかかり、その人も悪いことをしていたはずと思ってしまうのだそうです。しかし、みなさんに、この日本の現状を直視してほしいと思います。, *1 阿部浩己、難民研究フォーラム研究会「難民の送還:収容・送還に関する専門部会の議論から考える」報告書より *14 拷問等禁止委員会定期報告に関する総括所見(第2回)(2013年6月28日)、自由権規約委員会第6回政府報告書審査(2014年8月20日)など お問い合わせ, ©Tomi Asikainen/Amnesty International Finland, 日本と世界における難民・国内避難民・無国籍者に関する問題について(日本への提案)更新版. ブルクタウィットさんの場合でも、アムハラ語しか分からず、初めての国で初めての施設を行き来する中で、もし「送還されそうになっている」と勘が働かず力の限り抵抗をしなければ、弁護士がついていなければ、送還をされていたかもしれません。二度の難民申請で、入管庁からは不認定の判断がなされており、送還は目の前にありました。, 迫害のおそれがあり国へ帰れないと訴える人の滞在の可否を決め、命にかかわるといえる難民審査。しかし、日本でこれを担っている入管庁の審査には多くの問題が指摘されています。結果として、送還に深刻な危険を伴う人にも滞在を認めない判断が下され、図4のように、難民認定の門は限りなく狭く閉ざされています。難民保護としての機能が果たされていません。, <図4:「UNHCR Refugee Data Finder」より当会作成 単位:人>, ・難民認定の実務を入管庁が担っているため、難民を「保護する(助ける)」より、「管理する(取り締まる)」という視点が強いという、難民認定制度のそもそものあり方に問題があります。空港で難民として助けてほしいと訴えても、上陸が許可されず、そのまま収容されたり、難民不認定と同時に収容・送還されたりする事態が起きやすく、実際に起きています。本来は、治安上のリスクに関して入管庁のチェックを受けた後に、別の独立した政府機関が難民の審査を行うべきです。, ・難民申請手続きの透明性が不十分です。一次審査の面接に弁護士の同席も認められず、録音・録画がないのは、日本の特徴的な点です(図5)。諸外国では、面接の様子を録音・録画し、申請者にそのデータを共有するといった取り組みも行われています。現状では、入管庁職員が作成した調書や通訳が正確か確認することは困難です。難民不認定の理由の説明も不十分です。判断する側が有する情報は開示されません。, ・難民として当てはまるかどうかの基準が明確ではありません。また、迫害のおそれを裏付ける「客観的な証拠」が過度に重視されたり、証拠を提出しても「証拠価値がない」とされる場合もあり、それらの判断基準は明らかにされていません。本人の供述の評価にも問題があります。日本の難民・迫害の解釈はとても狭く、厳しいと指摘されています。, これらの点は、法務大臣自身が設置した有識者会議やUNHCRでも指摘されています(*13)。, ※そのほか、手続きの課題については以下も参照ください。
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