36 ウィル・ハリス 2017年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第113回ワールドシリーズ(113th World Series)は、10月24日から11月1日にかけて計7試合が開催された。その結果、ヒューストン・アストロズ(アメリカンリーグ)がロサンゼルス・ドジャース(ナショナルリーグ)を4勝3敗で下し、球団創設56年目で初の優勝を果たした。, レギュラーシーズンで100勝以上を挙げた球団どうしがワールドシリーズで対戦するのは、1970年以来47年ぶり8度目[2]。今シリーズは本塁打が特に多く、両チーム合わせてのシリーズ本塁打数(25)や1チームのシリーズ本塁打数(アストロズ=15)[3]、両チーム合わせての1試合本塁打数(第2戦=8)など[4]、複数の記録が塗り替えられた。シリーズMVPには、個人としてシリーズ史上最多タイの5本塁打を放ち、打率.379・7打点・OPS 1.471という成績を残した、アストロズのジョージ・スプリンガーが選出された。, MLB機構はこの年、史上初めてポストシーズンの全シリーズに冠スポンサーを募った。ワールドシリーズについては、Google傘下動画投稿サイトのテレビ放送配信サービス "YouTube TV" がスポンサー権を獲得しており[5]、大会名はワールドシリーズ presented by YouTube TVとなる。, 10月19日にまずナショナルリーグでドジャース(西地区)が、そして21日にはアメリカンリーグでアストロズ(西地区)が、それぞれリーグ優勝を決めてワールドシリーズへ駒を進めた。, 2016年のシーズン終了後、MLB機構と選手会との間で新たな労使協定が締結された。この新協定により今回から、ワールドシリーズの第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、レギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に与えられることになった[6]。ポストシーズン進出10球団のアドバンテージ優先順位は以下の通り[7]。, 10月19日にまずドジャースがワールドシリーズ進出を決めた。ドジャースは勝率が最も高かったので、この時点で相手に関係なくアドバンテージが確定し、開催地は第1・2・6・7戦がドジャー・スタジアム、第3・4・5戦がアメリカンリーグ優勝球団の本拠地となった。, 2003年から2016年までの14年間、シリーズのホームフィールド・アドバンテージはその年のオールスターゲームで勝利したリーグの優勝球団に与えられることになっていた。もしこの旧規則がもう1年長く採用されていた場合、この年のオールスターゲームではアメリカンリーグがナショナルリーグに2-1で勝利していたため、アドバンテージはアストロズに与えられていたことになる[8]。, レギュラーシーズンにおけるこの両チームの対戦は、アストロズが創設された1962年から2017年までの56年間で計711試合が行われており、その結果はドジャースの388勝323敗・勝率.546である[9]。アストロズは創設から2012年までの51年間、ドジャースと同じナショナルリーグに所属しており、その間は毎年対戦していた。1969年に東西2地区制が導入されると、ドジャースとアストロズはともに西地区に割り振られた。特に1980年代初頭は、この両チームで地区優勝を激しく争った歴史を持つ[10]。, 1980年は、地区首位アストロズがシーズン残り3試合で2位ドジャースに3.0ゲーム差をつけ、敵地ドジャー・スタジアムで最後の直接対決3連戦に臨んだ。しかしドジャースは、初戦で9回二死から同点に追いつき延長戦の末にサヨナラ勝利を収めると、続く2試合も1点差の接戦を制して土壇場で3連勝し、同率首位に並んで162試合を終えた。そのため163試合目としてワンゲームプレイオフが組まれ、アストロズが敵地での試合に7-1で勝利して地区優勝を決めた。この勝利によりアストロズは、球団創設19年目で初のポストシーズン進出を果たした[11]。ドジャースのスティーブ・ガービーは2試合目でノーラン・ライアンから決勝ソロ本塁打を放つと、試合後に「野球というスポーツは結局のところ、重圧そのものなんだ」と語り、アストロズのテリー・プールはワンゲームプレイオフ勝利後に「3連敗したときは本当に赤っ恥かかされたし、最後まで負けてたら死んでたな」と胸の内を吐露した[10]。, 翌1981年は、選手会が6月12日から7月31日にかけて50日間のストライキを敢行したため、前後期制が急遽導入された。これにより、前期優勝のドジャースと後期優勝のアストロズとで、地区優勝をかけて地区シリーズが行われた[注 1]。両チームがポストシーズンで対戦するのは、今ワールドシリーズ以前はこれが唯一の事例である[12]。この地区シリーズでは、アストロズが本拠地アストロドームでの最初の2試合に連勝し王手をかけたが、続く3試合はドジャー・スタジアムでドジャースが3連勝し、逆転でリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。ドジャース監督のトミー・ラソーダは「連敗しても、残り3試合に全部勝つ確信はあった。うちの連中は諦めるということを知らないからな」と胸を張った[10]。ドジャースは地区シリーズ突破後、モントリオール・エクスポズとのリーグ優勝決定戦も3勝2敗で勝ち抜き、最後はニューヨーク・ヤンキースとのワールドシリーズも制して16年ぶり5度目の優勝を成し遂げた。, その後、1994年にMLBが東西2地区制から東中西3地区制へ移行すると、アストロズが西地区から中地区へ転籍し、ドジャースとの年間対戦数も減少した。さらに2013年には、当時のMLB機構コミッショナーのバド・セリグ主導で歪な地区構成の改善が進められ、アストロズはナショナルリーグ中地区からアメリカンリーグ西地区への鞍替えを余儀なくされた[13]。これにより、ドジャースとアストロズの対戦は、インターリーグとして数年に一度しか行われなくなった。2013年以降の両チームの対戦は5年間で3連戦が一度だけ、2015年8月にアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークで行われ、アストロズが3連勝のいわゆる "スウィープ" を果たした[14]。この3連戦の初戦では、アストロズのマイク・ファイヤーズがノーヒットノーランを達成している[11]。, ドジャースはリーグ優勝決定戦のロースターから、外野手のカーティス・グランダーソンと捕手のカイル・ファーマーを外し、内野手のコーリー・シーガーと投手のブランドン・マッカーシーを登録した。シーガーは地区シリーズ第3戦で二塁へ滑り込む際に腰を痛め、正遊撃手ながらリーグ優勝決定戦ではロースターから外れていた[15]。代役のチャーリー・カルバーソンが打率.455と好調だったことから、ドジャースはシーガー復帰後もカルバーソンを残すことにし、代わって3人いた左打ちの外野手のうち打撃不振のグランダーソンを外すことにした[16]。マッカーシーは故障などのため後半戦の登板が5試合しかなく、地区シリーズおよびリーグ優勝決定戦でもロースター登録外だったが、シンカー中心の投球術を監督のデーブ・ロバーツに高く評価され、救援投手陣の厚みを増すためにワールドシリーズで復帰することになった[15]。ファーマーは今ポストシーズンで4打数無安打2三振という成績だった。, これに対してアストロズは、リーグ優勝決定戦からのロースター変更はない。外野手のジェイク・マリスニックが9月13日に右手親指を骨折しており、回復具合によってはワールドシリーズで復帰の可能性もあったが、結局間に合わなかった[17]。また、先発投手のマイク・ファイヤーズは2015年8月のドジャース戦でノーヒットノーランを達成しているが、2017年はレギュラーシーズンでチーム最多の153.1イニングを消化しながら防御率5.22と不振だったため、地区シリーズ以降は一度もロースター入りしていない[18]。アストロズでは投手のルーク・グレガーソンと内野手のアレックス・ブレグマンが、この年3月に開催された国際大会の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にアメリカ合衆国代表の一員として出場し、優勝を経験している。もし今回のワールドシリーズをアストロズが制すれば、ふたりは同じ年にWBCとワールドシリーズの両方で優勝を果たす史上初の選手となる[19]。, 2017年シーズン開幕時点でのメジャーリーガー全868選手中、ドミニカ共和国出身選手は93人で全体の10.7%を占めていた[20]。しかし今シリーズの両球団50選手中、同国出身選手はアストロズ投手のフランシスコ・リリアーノただひとりしかいない。もしこのリリアーノに登板機会のないままシリーズが終わった場合、同国出身選手の出番がないシリーズは1999年以来18年ぶりとなる[21]。一方、ドジャース外野手のジョク・ピーダーソンとアストロズのブレグマンは、ともにユダヤ系アメリカ人である。ワールドシリーズでどちらのチームのロースターにもユダヤ系アメリカ人が入るというのは、2004年以来13年ぶり5度目である[注 2][22]。, 2017年のワールドシリーズは10月24日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。, 試合終了後、アストロズのクラブハウスでは大勢の記者がユリ・グリエルを囲んでいた。グリエルはこの日、先制のソロ本塁打を含む5打数2安打の活躍を見せていたが、記者の質問のうちプレイに関するものはひとつしかなく、それ以外は彼がベンチでとった仕草のことに集中していた[23]。彼は2回裏にダルビッシュ有から先制本塁打を放ったあとのベンチで、指で両目をつり上げる "スラントアイド・ジェスチャー" をとり、さらに "chinito"(スペイン語で「チビの中国人」の意)という言葉を発したかのような口の動きをしていた。こうした行為・発言はアジア人に対する人種差別とみなされるものであり、その模様がテレビ中継のカメラに捉えられたことで騒動になっていた。グリエルは「ダルビッシュや日本の人を不愉快にさせるようなことはしたくない。大いに尊敬しているんだ、日本でプレイしたこともあるし」と、2014年に日本プロ野球・横浜DeNAベイスターズに在籍していたことも引き合いに出しながら「もちろん、彼に対して含むところがあるわけではないから、会って話がしたい。彼に謝りたい」と反省の弁を述べた[24]。ただその一方で、chinito発言については「(母国)キューバではみんな、アジア人のことをまとめて『中国人』と呼んでいる。でも日本人はそう呼ばれると気分を害する、というのも知っている」とも付け加えた[23]。記者の質問に答えるグリエルの声は、人だかりの後方からはほとんど聞こえないほど弱々しかったが[25]、近くで取材した記者のひとりは「彼はどうしてそこまで大きな問題になっているのか、驚いているようにもみえた」との印象を持ったという[26]。, ダルビッシュは「ああいうことをパブリックのところでしてしまっている以上はちゃんとMLBとかも、それなりの処置をしないといけないとは思います」としたうえで「これによってまたいろいろな人が学べると思うので、人類として――本当に大きなことになるけど、人類としてまた一つ学んで、前に行くステップにできれば、ただのミスで終わらないんじゃないかなと思います」と話した[25]。ダルビッシュのこうした抑制的反応について、MLB機構コミッショナーのロブ・マンフレッドは「模範的」と賞賛した[27]。マンフレッドは翌日の第4戦試合前に記者会見を行い、グリエルに2018年シーズンの開幕5試合出場停止処分を課すと発表した。この年のMLBでは、差別的言動をした選手に対する出場停止処分は2試合が相場であり[25]、今回はそれよりも重い処分となる。ただ、今シリーズには第4戦以降も出場することが可能である。出場停止処分が今シリーズ中に開始しないこととなった理由として、以下の要因が挙げられる[28]。, マンフレッドは「野球界にあのような振る舞いが認められる余地は存在しない。これは私自身、コミッショナー事務局、アストロズとドジャース、また両球団のオーナー、そして選手会の完全一致による見解だ」と表明し、グリエルは処分発表を受けて「昨夜の試合中に私がした擁護のしようもない侮蔑的仕草により、不愉快な思いをした全ての人に心からお詫びいたします。非常に後悔しています」と謝罪した[27]。ダルビッシュは「ワールドシリーズは大きなことだから、ワールドシリーズでサスペンションにするのはフェアではないというのは、なんとなくわかる気はする」と裁定に一定の理解を示し[29]、第4戦終了後には「もう終わったことです」と騒動に一区切りをつける意向を表明した[30]。, 試合前のアメリカ合衆国国歌『星条旗』独唱・重唱と始球式、およびセブンス・イニング・ストレッチにおける『ゴッド・ブレス・アメリカ』独唱を行った人物・グループは、それぞれ以下の通り。, 第2戦の始球式には、まずビン・スカリーが登場した。スカリーは1950年から2016年まで67年間にわたってドジャース専属アナウンサーを務めており、この日はマイクを持ってマウンドに上がった。観客がスカリーの名前を連呼するなか「スカリーはもういるからいいんだ、それより捕手を呼んでくれ」と、捕手役にスティーブ・イェーガーを呼び寄せて投球動作に入った。しかしボールを持った左腕を上げたところで動作を止めて「回旋筋腱板を痛めてしまった、これでは投げられない。申し訳ないがリリーフを仰ごう、サウスポーはいるか?」と述べた。すると三塁側ダグアウトからフェルナンド・バレンズエラが姿を表し、大歓声のなかでスカリーの代わりにボールを投じた。最後は3人が並び、スカリーの決めぜりふ "It's time for Dodger baseball!" 48 リッチ・ダウアー(一塁)  ブレグマンと、コレアを巡るシーンについては「アレックス・ブレグマンに3ボールとし、ケリーは4球目を打者の背後へと投じた。アストロズのスター選手をまるで狙っているかの投球だった。その後、カルロス・コレアを三振に打ち取り、ケリーはベンチに戻ろうとしたが、そこでコレアを挑発したのである。ベンチから両軍の選手が飛び出し、口論となったがそれ以外は何も起こらなかった」と状況をレポートしている。 14 A.J.ヒンチ 日本通運「侍ジャパン」応援サイトでもFull-Countスペシャル記事を配信中!.  これに堪忍袋の緒が切れたアストロズサイド。両チームが三塁側ベンチ前に集まる事態に。乱闘にまでは発展しなかったが、一触即発状態だった。 43 ランス・マッカラーズ・ジュニア 56 ブレント・ストローム(投手), Andrew Simon, David Adler, Joe Trezza and Chad Thornburg / MLB.com, ", Anthony Castrovince and David Adler / MLB.com, ", Betsy Helfand, Las Vegas Review-Journal, ", World Series keeps it real with two 100-W teams, Five Things You Missed: Astros Win First World Series Title, DYK: World Series HR records fall in epic G2, MLB signs YouTube TV as first presenting sponsor of World Series, CBA ending All-Star link to World Series' home-field advantage, New spin on World Series home-field advantage, All those wins add up: Under new rule, Dodgers host Game 7, LAD vs. HOU from 1962 to 2017 Head-to-Head Records, Blast from the past: WS renews '80s NL rivalry / Dodgers, Astros squared off in Senior Circuit in 1980, '81, Astros, Dodgers developed quite a rivalry as division foes, Here's what the world looked like the last time the Dodgers and Astros met in the postseason, LAD vs. HOU from 2013 to 2017 Head-to-Head Records, Seager makes Dodgers' World Series roster / Righty McCarthy also added; Granderson, Farmer off, No surprise: Curtis Granderson is left off the Dodgers' World Series roster, No changes to Astros roster for World Series, World Series 2017: How the AL champion Houston Astros built their roster, 同じ年に『WBC優勝とワールドシリーズ優勝』を味わった選手はまだ皆無。現時点で可能性があるのは……. Opening Day rosters feature record 259 players born outside the U.S. World Series: Yuli Gurriel surprised gesture toward Yu Darvish turned into focal point, Gurriel's big night marred by ugly gesture, Gurriel suspended for first 5 games in 2018 / Astros infielder to undergo sensitivity training after inappropriate gesture, With Gurriel ruling, MLB pulls off delicate move: Sending message, preserving World Series, Vin Scully, Fernando Valenzuela part of Astros-Dodgers Game 2 festivities, Girl with robotic hand throws inspiring first pitch / 7-year-old Hailey Dawson adds G4 at Minute Maid Park to list as highlight of dream day, Las Vegas girl with 3-D-printed hand to throw first pitch at World Series, Las Vegas girl ready for World Series pitch, 7-year-old sensation Dawson set for Fall Classic / Second-grader with robotic hand to continue MLB tour by throwing out first pitch before Game 4, Fox Draws 29.3 Million Viewers for the Houston Astros’ Game 7 World Series Win, Astros' World Series victory draws enormous viewership in Houston, Tuesday Final Nationals: Astros-Dodgers on Fox Second Most-Watched World Series Game 1 in Seven Years, World Series Game 1 ratings down from 2016, Wednesday Final Nationals: Astros-Dodgers on Fox Second Most-Watched World Series Game Two in Eight Years, Astros-Dodgers World Series Game 2 nets high ratings, Friday Final Nationals: Dodgers-Astros on Fox Second Most-Watched World Series Game Three in 13 Years, World Series TV ratings increasing by the game, Saturday Final Nationals: Dodgers-Astros Game Four on Fox Second Most-Watched Saturday World Series Game in 13 Years, Game 4 of World Series continued trend of strong TV ratings, Sunday Final Nationals: Dodgers-Astros on Fox Second Most-Watched World Series Game Five in 14 Years, Game 5 of Astros-Dodgers series draws 19.6 million viewers, Tuesday Final Nationals: Astros-Dodgers on Fox Second Most-Watched World Series Game Six in Eight Years, Astros-Dodgers World Series Game 6 nets high viewership, Wednesday Final Nationals: Astros’ World Series Game 7 Victory on Fox Platforms Second Most-Watched Baseball Game in 15 Years, Joe Buck and John Smoltz Spearheaded Fox's Excellent World Series Broadcast, David Ortiz Hilariously Picks Red Sox To Win World Series Game 7, SVU, Chicago P.D.
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