まるで何かに操られるように、引き寄せられたかのように、知り合ってしまったNたち。お互いを大切に思っていたからこそ悲劇が生まれ、切ないラストへと繋がっていきます。しかし、登場人物のその想いがわかるのは、読者だけ。ここに登場するNたちは、自分に向けられている想いに気づかないのです。今回の記事では、そんなもどかしくも切ないミステリー小説『Nのために』の5つの考察をご紹介します。, 高層マンション「スカイローズガーデン」の一室で起きた殺人事件。殺された野口夫妻との関係について、現場に居合わせた20代の4人の男女が、それぞれ証言を始めます。, 6人のNが、それぞれ想いをよせるNのために献身し、嘘をつき、歯車を狂わせていく本作。『夜行観覧車』『リバース』などの人気作品を手がけた湊かなえらしい作品で、ラストまでまったく目が離せません。, なぜ野口夫妻が殺されたのかというスリリングな謎解きとともに、人を想うことの切なさが描かれます。, 本作は2014年10月にドラマ化され、主演を務めた榮倉奈々と共演した賀来賢人が結婚したことでも話題となりました。, 主人公・杉下希美と同郷の青年・成瀬慎司を演じた窪田正孝の朴訥で素直な演技が好評で、野口夫妻の夫を演じたチュートリアル・徳井義実の演技が「怖い」と話題に。, 他にもドラマオリジナルのキャラクターとして、高野という香川の青景島で駐在員をしていた人物が登場。彼が独自の調査をおこなったことで、小説ではモノローグだった部分がうまく映像化されました。, <窪田正孝出演のおすすめ映画10選+テレビドラマ20選!実写化した役柄を総まとめ!>, 物語の中心にいるのは杉下希美です。彼女が安藤望や西崎真人と野ばら荘で知り合い、開発工事から野ばら荘を守ろうと提案したために、野口夫妻の事件は起きてしまいました。, 清掃会社でアルバイトをしながら就職活動をしている、K大学4年生の彼女。安藤も杉下と同様に就職活動をし、M商事営業部に就職しました。, そんな彼らの共通の趣味は、将棋。この将棋がまた、安藤の上司となり後に殺害されることとなる野口貴弘と杉下との関係を、複雑にしていくのです。, そんななか、杉下は同窓会で成瀬慎司と再会。香川の青景島で同級生同士だった2人の間にはとてつもない秘密と、恋心が秘められていました……。, それぞれのNが杉下を中心として知り合い、関係を構築し、愛情を抱いたり、憎しみを抱いたり……それが、この物語の肝だといえるかもしれません。, 父親である洋介に、母と弟とともに捨てられたことが大きなトラウマとなっている杉下。母のようになることを怖れ、自分の手で成功やお金をつかみ取ろうという野望を抱いています。, 湊かなえの作品は「イヤミス」と称されることが多いですが、本作は読後に「後味の悪さ」よりも、強い「切なさ」が襲ってきます。, 家庭環境により追い詰められていた杉下が、安藤や成瀬、西崎に対して抱く思いは、実はとても思いやり深いもの。彼女がもっと、まっとうな家庭環境でいたなら……と思わざるを得ません。, また、西崎と奈央子の関係も切ないもの。2人が惹かれあうのは「同じ傷を持つから」というたった一点の理由。, にも関わらず分かり合えたと思い込んでしまう彼らの姿は、すべてを読み終えた後に見ると、どこまでも哀れで切ないものなのです。, 本作は「イヤミス」ではなく、幸せになってほしいのに誰も幸せになれない、切ない物語なのです。, この物語には、幾度か「罪の共有」という言葉が出てきます。この言葉が見事な伏線となっており、当初は「杉下と成瀬の過去」を指す言葉だったはずが、「西崎と奈央子」「安藤と杉下」「杉下と貴弘」「杉下と西崎」のそれぞれに当てはまる言葉となっていくのです。, また杉下の父である洋介が言った「俺の一族は短命だ」という言葉も、とても切ない形で伏線として回収されます。言い放った本人がいつまでも元気であることが、物語において、とてつもない皮肉に感じられるでしょう。, その他にも、ちょっとした言動が物語の最後に影響をおよぼしていくことになります。彼らの一挙手一投足に、ぜひ注目してみてください。, 西崎と関係を持ってしまった奈央子。彼女は夫である貴弘から、日常的にDVを受けていました。そんな彼女の様子を見て、西崎はしだいに彼女を救ってやりたいと考えるようになるのです。, しかし、彼女は夫から逃れたいわけではありませんでした。西崎はそのことを見逃していますが、彼女は、夫と親密に見えた杉下に嫉妬しているのです。自分を殴り、痛めつける夫が、他の者に目を向けることを許せずにいたのでした。, そして夫の貴弘もまた、奈央子を殴ってはいるものの、彼女を離したくありません。西崎との逢瀬に感づいた彼は、自宅である高級マンションの玄関に表から閉められるチェーンを取り付け、彼女を監禁状態にします。, 奈央子が夢遊病状態でふらふらと外へ出た時に、こけて流産したから……と、チェーンを見つけた杉下や安藤に説明しますが、妻を監禁する理由としてまっとうなものだとは到底思えません。, 野口夫妻を殺した犯人として西崎が逮捕されますが、彼は誰も殺してはいませんでした。奈央子のために貴弘を殺そうという覚悟を決めていましたが、肝心の奈央子が、彼にそれをさせなかったのです。, 夫妻が死ぬことになったのは、安藤が外のチェーンを閉めていたからかもしれません。自分だけを仲間外れにして、西崎、杉下、成瀬が何かたくらんでいると考えた彼は、ちょっとした出来心から杉下、西崎、野口夫妻がいる部屋のチェーンを外から閉めてしまいます。, でも杉下は、彼がチェーンをかけただろうと知りつつ、そのことを警察には告げませんでした。彼女は、自分のある行動も事件の原因かもしれないと考えていたのです。, 成瀬は、よくわからないながらも、杉下の意を汲みました。彼は杉下にとって、いつもそういう存在なのです。, 病院でそのことを後悔していないと笑う彼女に、成瀬は、料理人としておいしい料理をふるまってやるという約束をします。しかし、この2人が幸せになれるわけではありません。, その答えはきっと、読む人によって違ってくることでしょう。切ない結末は、ぜひご自身の目でお確かめください。, ページをめくるドキドキ感。読み終わったあとのカタルシス。推理小説を読んでみたいけど、数がありすぎてどれから読めばいいか分からない……。そんな初心者の方におすすめの推理小説をご紹介します。, ポップな青春ミステリーから、映画化された本格派ミステリーまで、様々な種類のミステリー小説を世に送り出している米澤穂信。数多くの受賞歴を持つ人気作家の作品の中から、おすすめの10作品を紹介します。, 「ミステリの女王」と呼ばれる、20世紀に活躍したイギリス生まれの推理作家、アガサ・クリスティー。彼女の作品は様々な言語に翻訳され、愛されています。彼女の作品の中から、おすすめの10作をランキング形式で選んでみました。, 何度読んでも楽しめる、海外ミステリー小説を読んだことはありますか?今回は、世界の不朽の名作ミステリーおすすめ作品をご紹介します。. それから安藤は杉下を好きということがわかりやすく描かれているので、そこは共感できました。 湊さんの映像化された作品は全部見ていて印象に残っている作品も多いんですけど、『Nのために』は今までとスタイルが違うというか、登場人物たちがより人間味にあふれている気がします。 成瀬のためには,放火犯を疑われないようにするためにアリバイをでっちあげました。安藤のためには,病気である自分が迷惑をかけないように,一緒になることを拒否しました。野ばら荘がつぶされるのを防ぐために,2つのn作戦に協力しました。 The novel "for Nozomi from Nozomi" includes tags such as "Nのために", "安藤望" and more. https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/12/22/kiji/K20141222009475480.html, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=Nのために&oldid=79086625, 成瀬の父が経営していた料亭「さざなみ」は、原作では火事になって以降の話はないが、ドラマでは時効寸前で真相が明らかになる。, 成瀬が「シャルティエ・広田」の従業員で働きはじめたのは、原作では上京してすぐの夏からで就職先が決まらず大学卒業後も同じところで働き続けたが、ドラマでは大学中退した後からである。, 「Nのために」DVD-BOX/Blu-ray BOX 6枚組(本編5枚+特典DISC1枚)、発売日:2015年3月25日. Huluで無料視聴体験 クリスマスが近づくと観たくなるドラマ「Nのために」。 日本のドラマで1番ハマった大好きな作品です。 島での救いようのない現実の中で生まれた2人の絆。 どん底から這い上がろう … 杉下のN=成瀬という認識下で、成瀬を守る為の行動として杉下の安藤入室阻止行動がどのような意図であるのかがさっぱり見当が付かなかったんですが、naoさん、桃さんの説明で理解出来ました。 この記事はレビュー記事シリーズのドラマ「Nのために」編です。キャストや使用楽曲,あらすじ等をザっと振り返った後に,全体を通して考察を加えていきます。レビュー記事の目次はレビュー記事のまとめページです。, 大好きな作品です!ここまでストーリー性とメッセージ性のバランスが取れた作品は珍しいのではないでしょうか。, ●榮倉奈々(杉下希美) ●窪田正孝(成瀬慎司) ●賀来賢人(安藤望) ●小出恵介(西崎真人) ●徳井義実(野口貴弘) ●小西真奈美(野口奈央子) ●三浦友和(高野茂) ●原日出子(高野夏恵), 2014年のスカイローズガーデンの夫婦殺害事件をめぐって,知り合い同士で合った西崎・杉下・成瀬・安藤が偶然にも同じ場所に居合わせたことから,4人は事件への関与を疑われることになります。テレビからジングルベルが流れる,クリスマスイブの出来事でした。結局は,〝自白〟をした西崎が殺人犯として逮捕され,西崎は刑務所の中で10年間を過ごしました。, 時はさかのぼること10年。杉下と成瀬は瀬戸内海の小さな島「青景島」で高校時代を共に過ごしました。杉下の家庭は,父親の勝手な行動により崩壊の危機に瀕していました。成瀬はそんな杉下を救おうとている最中に,自分の家を火事でなくしてしまいます。よく夜に出歩いていた成瀬は,村の駐在である茂に放火犯として疑われました。それを知った杉下は,成瀬をかばうために,奨学金の申請書を成瀬に譲ることでアリバイをでっちあげました。この火事により,茂の妻である夏恵は燃え盛る家から成瀬の父を救おうとして,声を失ってしまいます。, 時は少し進み,杉下は大学で安藤と出会います。2人は野ばら荘というボロアパートの同居人でもあり,そこで西崎と出会います。野ばら荘は都市開発によってつぶされる危機にあったため,杉下・安藤・西崎の3人は野ばら荘を守るために「N作戦」を決行します。そこで三人は,スカイローズガーデンの住人であり,安藤の上司でもある野口貴弘と野口奈央子と接触します。, 野口の担当するプロジェクトが頓挫し,そのやりきれなさから野口は優秀な安藤へ嫉妬心を募らせていきます。一方で,心に闇を抱える西崎は,同じく心に闇を抱える奈央子の異変に気付きます。西崎は,奈央子を救うために「N作戦II」を決行しますが,予想外の出来事が重なり計画は失敗に終わってしまいます。それだけならまだしも,N作戦IIは殺害事件へと発展してしまったのです。テレビからジングルベルが流れる,クリスマスイブの出来事でした。, 定年退職緒した茂は,時効まで1年を切った放火事件の真相についてモヤモヤした気持ちを抱えていました。仕事を辞めた茂には時間があったため,東京に出向いて放火の事件の真相,そしてスカイローズガーデンでの殺害事件で4人が現場に居合わせていた〝偶然〟の真相を探ろうとします。様々なことが明らかになっていきます。彼ら,彼女らは「Nのために」紐づけられていたのです。, 終始圧倒された作品でした。寝る間も惜しんで見てしまうほど,中毒性の高いドラマです。内容はもちろん,細部にまでわたる繊細な描写,伏線回収の仕方,メッセージ性なども含めて素晴らしい作品だと思います。, 内容の泥臭さとは対照的に,作品を通して爽やかな印象を受けました。というのも,肉体的な描写が普通のドラマに比べて少ないのです。本作品には多くの男女が描かれますが,生々しい描写をされるシーンはごくわずかです。タイトルや最終シーンでも爽やかな印象を与えるような工夫がなされているように思えます。内容としては,私たちの心にズッサリ刺さって受け止めるのに時間がかかりそうなものばかりですが,後味はサッパリしているのが不思議であり,本作品の腕の見せ所なのだと思います。, この作品の題名「Nのために」というには,どのような意味だったのでしょうか。作品中にはあまりにも多くの「N」がいて,様々な解釈が可能になっています。各登場人物に焦点を当てながら考えていきたいと思います。, 杉下にとってのNというのは,成瀬であり,安藤であり,野ばら荘であり,そして何より自分であったのだと思います。成瀬のためには,放火犯を疑われないようにするためにアリバイをでっちあげました。安藤のためには,病気である自分が迷惑をかけないように,一緒になることを拒否しました。野ばら荘がつぶされるのを防ぐために,2つのN作戦に協力しました。, 作品を通して,杉下は多くの場面で自分を犠牲にして他者の幸せを優先します。自分の幸せは,自分でつかみ取る。誰にも頼らずに生きていこうとしたのです。そのために,島を出ました。しかし,作中でよく使われる言葉である「自分のために生きる」に代表されるように,杉下は病気をきっかけに他者に頼ることの大切さに気付きます。最後は,自分の幸せをつかむためにホスピスではなく「島で成瀬君と過ごす」選択をしたのです。, 成瀬にとってのNは,杉下でしょう。同時に,自分でもあると思います。成瀬は,杉下にアリバイを作ってもらった恩返しをしたいと感じていることや,作中で度々描写される杉下へ好意があると読み取れる仕草などから,杉下という存在が行動の原動力であったのは間違いないでしょう。しかし,最終的には東京を離れて島で店をオープンするなど,自分の夢を追いかけることも忘れていません。後述の安藤とは対照的に,成瀬からは内に秘めるような愛情を感じます。, 安藤にとってのNも,杉下だと思います。安藤は,杉下にプロポーズしました。大学でもモテるであろう安藤が,婚約指輪を拒否されたときに「何年後になるか分らないけど気持ちが変わるかもしれないから」という趣旨の発言をしています。読み替えると,一生杉下を愛し続ける決意を固めていたということになります。, 事件当日に外側のチェーンをかけたのも,杉下の愛情を確かめたかったからです。愛情が強すぎるがゆえに,成瀬という幼馴染の存在が気になって仕方なかったのです。先述の成瀬とは対照的に,アクティブな愛情を感じます。, 西崎にとってのNは,奈央子だったでしょう。幼少期のトラウマを持つ西崎は,他者の弱さに人一倍敏感です。西崎と奈央子は,深いところで共鳴し合っていました。…ように思えました。最後の事件現場で,奈央子は逃げ出せる状況にありながら,夫から杉下を離させるように西崎にお願いします。西崎は,このような裏切りにも思える行為をされながらも,最後は自分で全責任を負いました。, 奈央子にとってのNは,やはり野口だったのだと思います。最後まで,野口と向き合い続けました。野口にとってのNは,自分でしょう。プライドを守るためなら,将棋で勝負を中断することも,暴力を振るうこともするのです。茂にとってのNは夏恵で,事件の真相を探るために全力を尽くし,生活面でも夏恵を支え続けました。夏恵にとってのNは…。誰だったのでしょうか。, 本作品は,内容だけではなく演出にも数々の工夫が凝らされています。タイトルシーンも鮮やかな色で統一されており,水に沈むシーンが伏線として利用されています。(出典:TBSオンデマンド), また,高校時代・事件当日・現在の3つの時間軸をつなぐのは,写真を利用した回想的な演出です。こちらについては,最後の回想シーンで写真の切り替えスピードが初めてゆっくりになっていき,事件の収束と杉下の最期を暗示させます。, 本作品のメッセージの中で1つ採り上げるとすれば,人や環境によって愛の形は変わってくるということです。, なんてツッコまれそうですが…。一応,書き続けていきます。文学少年の西崎は,杉下に「本当の愛って何だと思う?」と聞きます。杉下は成瀬のことを思い浮かべながら,「罪の共有」と答えます。当たり前のことですが,大好き大好きと言葉に出して抱きしめることだけが愛ではありません。罪の一端を担うことも愛の1つの形ですし,身を引くことも愛の1つの形です。, さらに,本作品で印象的なのが「西崎の母親の愛」「野口の愛」です。西崎は,幼い頃に母親から暴力を振るわれていました。体中は傷だらけで,腕にはタバコでつけられたやけどの跡が残っています。しかし,西崎の母親は西崎のことを愛していたのです。自分の愛すべき存在が現実にあることを確認するかのように,暴力を振るっていたのだと思います。, 野口も,作品の終盤で勝手な行動をする奈央子に暴力を振るいますが,落ち着いた後には「ごめん。どうしようもないんだ。」という言葉を残しています。愛は時として憎しみという感情にもなり得てしまうのです。一般に,愛とは正反対の行為として捉えられている暴力が,愛を感じるために利用される世界もあります。卵が先か,鶏が先かの議論になりますが,どんな形であれ人を愛する結果が表出すれば,それを愛と呼ぶしかないのかもしれません。, こちらの記事でも解説している通り,基本的には「U-NEXT」と「TSUTAYA DISCAS」の2つのサービスを利用すればOKです。ぜひ,お得に作品を楽しんでくださいね。, 以下,基本的にネタバレを含んだ考察になりますのでご注意ください。また,個人の見解も含まれます。, https://tips-memo.com/wp-content/uploads/2019/09/252c30818e897f67b32380fd9d6acc11.png.
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